紙に印刷される楽譜を出版しようとすると、最低でも50冊は買い取るように出版社に要求される。それは出費としてはかなりいたい。デジタル出版ならそのようなことは無い。ただ、提供する側が楽な分、受け取る側はそれを自分で印刷するという面倒を引き受けることになる。そのことを思うと、単価をあまり高くするわけにもゆかない。ネット上でのデジタル出版は、可能性としては世界中の人に、見つけてもらう可能性がある。・・・せめて、そこに希望をかけたい。
1988年に演奏された尺八版はすでに、マザーアース社から出版されていますが、今回は2004年に初演された、フルート独奏版をSMPから出しました。。
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こちら、フルート独奏版は2004年にシド音楽企画主催の「日本の音楽展〜作曲賞」において「優秀賞」を受賞。そのときの審査員評を紹介させていただきます。
(以下引用)
「審査は三善晃、松村禎三、と私広瀬量平が行った。今年の応募作品の中から鶴原勇夫君の「真理子抄〜フルートのための〜」と木下大輔君の「女ーソプラノとピアノのためのー」がPich upされた。
鶴原君の作品ははじめ地味な印象だった。特に創意や作為が目立つわけではなく記譜や書式も在来のものと特に変わらず、見る人によっては平凡に感じられたかもしれない。しかしよくみるとこの作品はフルートの作品としてとても良く出来ている。
 多くの作曲家は、作品においてピアノを手がかりとすることが多いが、ピアノはどの音、どの音域でもfやp、クレッシェンドやディミニュエンドなどが可能である。しかしフルートはfを書き込んでもその音は何の魅力もないし何も意味がないということもある。しかしその音をオクターブ上げるだけで光り輝く音となり、魅力溢れる表現を可能とする。同じように或る音から或る音へクレッシェンドと書かれていても少しもクレッシェンドしない。むしろディミニュエンドしてしまったりする。それが逆の場合は、何も書かなくてもクレッシェンドしてしまうから、それにクレッシェンドと書くと不必要な程のクレッシェンドになってしまう。こうゆうことはどの楽器にもある。たとえばピアノでは長い音を出すために鍵盤にタッチすると、音の出た瞬間から減衰がはじまり、音はどんどん小さくなる。これがオルガンとの違いである。
 こういう宿命を楽器はそれぞれ持っているのだが、それを不自由と感ずるか、それを活かして表現に役立てるかは人によって異なる。そう言う点で、「真理子抄」は大変すぐれている。楽器の使い方が上手などということではなく、そういうことをよくわかって作曲していると思った。」