鶴ちゃんの気まぐれ日記

コルンゴルトをこよなく愛する作曲家、鶴ちゃんのページです

2012年10月

純と愛(いとし)について

バンダナ姿の作曲家

「僕は、人の本心が読めるんです」というSFめいたシチュエーションで始まった、現在放映中のNHK朝の連続ドラマ「純と愛」は、わかりにくいストーリー展開や、登場人物の常軌を逸した行動などによって、「朝楽しめるドラマじゃない」とやや不評なようだ。

私も「何だかとらえどころがない、ついてゆけない」と、あまり見たくない印象を持った。

とくに他に見るものもないので、我が家もその時間はいつもそのドラマがついている。見たり見なかったりの日々だったが、最近作者の意図のような何かが見えてきたような気がする。




そもそも、「僕は、人の本心が読めるんです」という話を聞いて、「ああ、そういった超能力を軸にファンタジーを展開するのか、なにせTVドラマだから」と多くの人は思ったに違いない。その超能力でどんな事件を解決してくれるのか、どんな娯楽的な展開のドラマになるのかを期待しながら、続きを見る気になったことだろう。これは「ファンタジーの視点」だ。しかし、もし現実の世の中でそのセリフを聞いたらどう思うだろう?「こいつ頭おかしいんじゃないの」と、だれもが思うことだろう。これは「リアリズムの視点」だ。

で、最近見ていて。このドラマは「ファンタジーの視点」でも「リアリズムの視点」でもどちらから見ても成立するように注意深くドラマが描かれているのではないか、と気づいた。無抵抗の小さな子供に対し、相手が悪人であると確信して強い厳しい言葉を浴びせかける主人公は、リアリズムの視点で見れば立派な「ただの精神障害者」である。主人公の純は今のところ愛(いとし)を信じている。「ファンタジーの視点」がまだ継続中だ。いつリアリズムの視点に気付くのだろうか?・・・・そして、リアリズムの視点に立った場合、精神に障害があるのは「人の本心が読める」とのたまう愛(いとし)だけであろうか?じつは第1の主人公である純のほうも、他人の立場に立ってものが考えられない、社会性を配慮した行動をとることができない、「○○○○○症候群」の障害を持っているとしたら、・・・・入社試験での過激な言動はリアリズムの視点からはそのように説明がつく。はてさて、いつまでファンタジーを続けるのだろうか。どこかで「じつは・・・」と種明かしをされるのだろうか?半年終わってみて、「結局2人のキ○○イにつきあわされただけか」と、しらけさせられるよりは、最後までファンタジーを貫いて、視聴者をだまし続けて欲しいようにも思う。

 

かつて、「世にも奇妙な物語」で、戸田恵梨香が主演した「これ……見て……」というドラマがあったのを思い出した(20084月放映)。主人公の視点で見ていると周りの人間が皆おかしい、しかし最後にどんでん返しで実はおかしいのは主人公のほうだったと解る。おまわりさんに「私、あなたに殺されるんです」という主人公は、統○○○症患者そのものだ。

コルンゴルト広め隊

コルンゴルト・ファンで東京芸大大学院生(楽理科)の中村伸子さんが「コルンゴルト広め隊」というグループ名でコルンゴルト作品を紹介する小コンサートを開始したのは四年前だっただろうか?当時は芸大大学祭の中での一つのイベントという位置づけだった。今年第3回目の「広め隊」のコンサートは、芸大をでて、六本木の霊南坂教会という会場で10月5日に開催された。コンサートのタイトルは「コルンゴルトと祈り」
コルンゴルトと祈り
曲目は
《劇的序曲》 op. 4[オルガン編曲版、編曲:野田優子]
3つの歌 op.22
2つのヴァイオリン、チェロ、左手のピアノのための 組曲op. 23より 第4楽章
4つの別れの歌op. 14
ピアノ五重奏曲op. 15より第2楽章
テノール独唱、女声合唱、オルガン、ハープのための 《祈り》 op. 32

この中では、オルガン用に編曲された「劇的序曲」が他では聴く事のできないレアなプログラム。本番の演奏もなかなか良かった。
他の歌や演奏も、高い水準の演奏で、これなら初めてコルンゴルトの曲に接した人も、コルンゴルトという作曲家がいかに素晴らしい曲を書いていたたかが納得出来た事だろう。

選曲も演奏もなかなか意欲的で、若い人たちの中からこのような運動が育っている事に頼もしさを感じた。コルンゴルトも将来は「よく知られる作曲家」の仲間入りをしてゆくに違いない。


「北方領土特命交渉」読了

前に読んだ「北方領土交渉秘録」の東郷和彦氏らとともに、北方領土返還交渉に当たっていた2名による共著「北方領土特命交渉」を読了した。

バンダナ姿の作曲家-北方領土2

佐藤氏は、情報を担当する秘書官で、鈴木氏は政治家であり担当大臣も務めた。立場は異なるこの2名の書いていることと、前に読んだ東郷氏の書いていることとは、表裏一体の関係があり、2冊を読む事で一層全体像が浮かび上がってくるものだった。もちろん外交交渉に関しての微妙な部分はまだ秘密にする必用が有り、この本でも書かれていない。田中眞紀子氏が外相になってから、それまでの苦労が水の泡になったばかりか。この2名は有らぬことで罪を問われ、逮捕されてしまう。こんな事が起こるとは、日本は恐ろしい国だ。
北方領土交渉は、日本側に解決の意志なく(解決すると仕事を失う部署の奴らが交渉解決の邪魔をする。)、永久に現在の状況が続くように思われる。・・・・官僚をますます信用出来なくなってくる。

北方領土交渉秘録

東郷和彦著の「北方領土交渉秘録」という本を読んだ。

バンダナ姿の作曲家
私は、以前から、北方領土返還交渉には少なからず関心を持っていた。しばらく何の進展もない年月があって、私も半ば忘れていたのだが、今年の夏に相次いで韓国や中国との国境問題が加熱したので、「北の方はどうなってるの?」と、何か情報に触れたくなったのだ。そして、関連した本を4冊ほど買い込んだ。その一つ目がこの本だ。著者の東郷氏は外務官僚として、また外交官として、永い間ロシアとの交渉に携わって来た人だ。交渉を進めるために、ロシアの官僚や外交官などとの緊密なパイプを作り、人間関係を育て、領土問題の解決=平和条約の締結へ向けて、慎重に誠意を持って手を打ち駒を進めて来た苦労が、読んでいてひしひしと伝わってくる。ソ連崩壊ーロシアの民主化などの時代が訪れ、領土交渉にも再び大きなチャンスがやって来た。橋本+エリツィン会談によって、ことは大きく前進するかに見えた、その矢先、エリツィン氏の健康問題で大きなブレーキがかかってしまう。挙げ句の果ては、国内の官僚の他の勢力からの切り崩しに会ったり、田中眞紀子外務大臣の不用意発言などが続き、それまで営々と築き上げて来たロシアとの信頼のパイプや、領土交渉の機運が、がらがらと崩れ去ってしまう。・・・・・・・

東郷氏に会ったら思わず抱きしめたくなりそうな、誠意にあふれた「秘録」であった。

この本を扱っているところが例えばこちら
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