FaureVcon_m.jpg珍しい、フォーレのバイオリン協奏曲のCDを入手した。なぜ珍しいかというと。あまり演奏されることのない曲だからである。なぜあまり演奏されないかというと、未完成なのだ。しかし正真正銘のフォーレの作曲になるもので、1楽章だけ完成していて2楽章と3楽章はスケッチが少しあるだけらしい。第1楽章のメロディーの一部を晩年の弦楽四重奏曲で使っているので少し聞覚えのある感じだ。しかし、晩年の幽玄な響きとは違う。ピアノ四重奏曲第1番が書かれた時期に書かれているので、まだ若々しいみずみずしさが曲の特徴といえる。管弦楽はあの「レクイエム」を思わせる響きが一瞬あるものの概して特徴がない。バイオリン独奏のフレーズは、あの人気の高いバイオリンソナタ第1番の頃に書かれた曲ではあるが、もっと技巧を凝らそうとして・・・サンサーンスの曲のような感じになってしまい、それほどフォーレらしさが感じられない。そんなところから彼は全曲完成させる意欲を失っていってしまったのかもしれない。美しくて聴いていて心地よさはあるのだが、フォーレらしさや「印象に残るような要素」がさほどは感じられない。第1楽章だけの録音だが16分以上かかっている。うーーん、もしかしたらこの長さが、続きを仕上げることを断念させる原因になったのかもしれない。彼の曲で1曲や1楽章で16分かかる曲なんてほかにあるのだろうか?(鶴ちゃんは知らない)