gclark_mjpg.jpg本グレゴリー・クラーク著「なぜ日本の教育は変わらないのですか?」を読んだ。2003年の出版なので現場から見るともう古いと思う部分もあるものの、書かれている通りの現実が今も続いていると思うと、今でも大いに参考になるところの多い本と言えると思う。
GPA制度など、この本で推奨されている大学改革の手段のいくつかはすでに現場でも取り入れられていて・・・そしてすでに骨抜きに形骸化していることを、現場の人間として嘆かわしく感ずる。制度や人の心はかんたんには変らないものだ。今回の政権交代を受けて少しは大きく変わってくれる部分も有って欲しいとは思うが、事は簡単ではない。

著者が力説している事の中で、私自身も今まで力説してきた事が有る。それは、「青少年の教育は親と学校の先生だけでは出来ない」という事だ、今の子供達は生活の大半の時間は親と学校の先生という2種類の大人としか接していない。わたしは、親や学校の先生以外のさまざまな大人から子供達は多くを学ぶべきだと思っている。そのような場をどうして作れば良いだろうか?中学校や高校の現場ではすでにそういった方向性でのさまざまな試みがなされている例がある事も知っているが、それらはおそらくまだほんの一握りの例外的な事例に過ぎない。

「世の中全体で子供を育ててゆくという考えが大切だ」と、今の政府が言っている事を、どう実現して欲しいか?わたしは、就職活動で大学3~4年生が四苦八苦している現状を見ると、学校の教育とは別に「社会教育」を中学生や高校生世代の子供達にもっともっとなすべきだと思う。文部科学省だけではなく「経済産業省」「厚生労働省」「国土交通省」なども(そして大人の誰もが)、青少年の教育に責任を持って取り組むべきだと思うのである。