thoams_m.jpg本学生時代、作曲の勉強をしていて「バッハの音楽を本当に理解するには、キリスト教の事も知らなければ駄目だ」と思い「イエスの生涯」などという本を読んだ記憶がある。別にクリスチャンになった訳ではない。
今また、ひょんな巡り合わせから「トマスによる福音書」というのを読み始めた。以前読んでみたいと思っていたものだ。クリスチャンの方ならもうお分かりと思うが、この「トマスによる福音書」というのは、現在の正統派のキリスト教会からは「異端の書」と呼ばれている。その中に書かれている「イエスはこう語った・・・」という話も、偽作なのでクリスチャンは信じてはならないものとされる。・・・しかし私はクリスチャンではない。
以前から読んでみたいと思っていた話がそこには載っていた。「天国は空の高くにあると教える人がいるかもしれない、しかしそれなら鳥のほうが早く天国に行けるだろう。天国が海にあるという人がいるかもしれない、しかしそれなら魚のほうが早く天国に行けるだろう。・・・そうではなく、天国はあなた自身の中にあるのだ」・・・うん、これ!前から読んでみたいと思っていたお話だ。その続きは「あなた自身を知れば、あなたは父(神様)の子と気づくだろう。あなたが自身の事を知らなければあなたは貧困である」などなど・・・
Ⅰ~2世紀当時、「グノーシス主義」と呼ばれるキリスト教徒(?)が多く存在したらしく、そこでは「イエスが神の子であるように、すべての人が本来『神の子』である(が、それに気づいていない)」という考え方が根底に有ったという。しかし、ヨハネらは「イエスは特別な存在であり、神の子はイエスただ一人である」という考え方に立っていて、両派の間に対立が有ったらしい。やがて、教会の権威や位階制度に疑問を持つグノーシス主義者たちの勢力が3~4世紀には弱まってゆき、ヨハネの主張した考え方の勢力が主流となっていった。教会もその権威を確立する事に成功して・・・それ以後今日に至るキリスト教勢力となった。ふむふむ。
やはり鶴ちゃんは、教会から「異端」と決めつけられた勢力の中にどのような考え方があったのか、どんな「イエスの言葉」が伝えられていたのか・・・の方に興味があるなあ。

しかし読み始めて、日本語訳にもよくわからない単語が出て来て困った。「過越の祭」と訳されているが何の事か判らない。そこで読むのを一旦やめてネットで調べてみた。どうやらキリスト以前から伝わるユダヤ教の祭だという事が判ってきた、そして「過越」のもとの言葉は「PassOver」・・・あれれ、コルンゴルトの曲に「Passover Psalm OP.30」というのが有ったな!音符。と、意外なところでまたもコルンゴルト漬けになる(?)鶴ちゃんなのであった。

グノーシス主義についての解説ページはたとえばこちら

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