6月22日夜、「コルンゴルトの夕べ」と題した、バリトンの石崎秀和氏のリサイタルに行って来ました。
コルンゴルト(1897−1957)の没後50年の2007年頃にはコルンゴルトの曲ばかりによるコンサートも少しはありましたが、その後は、「オール・コルンゴルト・プログラム」の演奏会はほとんど見かけない状態でした。「コルンゴルト広め隊」による企画コンサートもありましたが、それは研究会的な意味あいのイベントでしたし、オペラ「死の都」公演は、コルンゴルトの曲ばかりを演奏しているという事を特色として語る意味のない演奏会です。従って、一般的なコンサートとして、オール・コルンゴルト・プログラムを組んだ、この石崎氏の「コルンゴルトの夕べ」というコンサートは、めずらしく意欲的にコルンゴルトを紹介したコンサートだったと言えます。
ほとんどの曲はすでに聴いたことのある曲でしたが、中には楽譜の出版されていない初めて聴く曲もあり、興味深い内容でした。それと、もう一つ良かったのは、オペラ公演で見かけるような「日本語字幕」を表示していたことです。私も、意味をよく理解しないまま聴いていた曲もあるので、これは有難い・・・新たな曲の再発見にもなりました。
ピアノの小田さんも、ソロによる演奏も含めなかなか良い伴奏をしていました。
第2次世界大戦中アメリカに亡命し映画音楽を作っていたコルンゴルトは、戦後は忘れられた作曲家となってしまい、わが国でも、(最近見直されるようになる前は)殆どの音楽家にとって「知らない人」だったようです。知人の作曲家も、この晩初めてコルンゴルトの良さを知った、と言っていました。
私も、授業で学生にコルンゴルトの魅力を説いていたりしましたが、このような演奏会の場で演奏家の方が聴衆にコルンゴルトの魅力を語ってくださる事は、大変に喜ばしいことです。
石崎さんには、この日演奏しなかった楽曲を取り上げて「コルンゴルトの夕べ第2夜」を企画して頂けたら良いな。女声の声楽家とのジョイント・リサイタルでも良いかも。(「マリエッタの歌」のように女声向きの曲も有りますからね)期待!!